この週末に最後の鑑賞に行かれる方も多いと思いますので。
個人的に今回の展示で興味深かったのは、葦手と呼ばれる装飾技法です。 葦手にはイロイロな種類や技法があり、本来のものは文字の変わりに絵で示すという、今で言えばメールの絵文字みたいなものです。(違うか・・・)
装飾経や扇面画の中にいくつか見られますが、平家納経薬王品(第二室の展示)の例がわかりやすいので、図版で説明します。
これが見返しの絵です。
左上の阿弥陀から発せられた光が、右下の女性を照らし、中間には蓮池があります。 これは女性でも往生ができる、という経典の教えを可視化したものです。
ぱっと見でも、女性の左上に「此命終」という文字、阿弥陀の下に「安楽」、右に「生」、下に「即」の文字が確認できると思います。 さらに女性の周囲にも、ちょっとわかりずらいですが、いくつか文字らしいものが見えます。
解説図を示すとこうなります。
女性の上に、ひらがなで「もし」
右下にカタカナで「コノ」
左下にカタカナで「アリテ」
「安楽」の左に続けてひらがなで「せかい」とあります。
「い」は蓮の葉の両側の輪郭線を兼ねています。
ぜんぶ続けると・・・
もし、コノ、女人(女性の絵)、アリテ
此命終
即(すなはち)
安楽せかい
生
となり、まさに女性が極楽往生できるという内容と一致しています。
テクニック2:オリジナルと説明図を別ける、というのはこういうことです。
図版出典はヒミツ(苦労したんだ・・・コレ探すの)